25年に及ぶ経験から、ウォーハンマー世界はさまざまなコンテンツで満たされた、豊かで魅力的な世界となっている。各種族はビジュアル的にも個性的だ――卑しく粗雑なオークがいれば、気難しくてビール好きのドワーフもいるし、高慢で気位の高いエルフもいる。各種族のキャリアも個性的だ――スパナを持ったエンジニアと、けんか腰のアイアンブレイカーを見間違える人はいないだろう。となると、WARのデザインにおける最大の課題のひとつは、プレイヤーが自分のキャラクターの外見をできるだけカスタマイズできようにしつつも、それと同時に種族やキャリアの外見的イメージを崩さないことだろう。キャラクターのキャリアが一目で判別できることは、WARにとって本当に重要なことなのだ――オレンジのローブ、大きな杖、燃えるような髪とくれば、これはブライト・ウィザードだ!
たいていのMMOプレイヤーは、アーマーがどのように機能するのかをビジュアル的に理解している――アーマーを装備すれば、キャラクターの外見が変化するからだ。新しく手に入れたアーマーを初めて装備し、キャラクターの見た目がどう変わるのかを確かめる瞬間は誰でも好きだ。それはそれでクールだが、我々はさらなるカスタマイズの段階を目指しているのだ!
WARの場合、我々はデザインの過程のごく初期の段階から、何か特別なものにしようと決めていた。我々はプレイヤーに何か目的を与えたかった。英雄的なプレイヤーに報酬を授け、凄いアーマーを与え、外見に違いを持たせると同時にシルエットの統一性を保つのだ。どうやったら実現できる? そうだ、WARのトロフィーだ!
多くのMMOでは、着用するアーマーを決断した時点で、君のキャラクターの外見について用意された選択肢のほとんどは費やされてしまう。トロフィーというアイデアの背後には、キャラクターのビジュアルのカスタマイズをさらなる段階に高めようという意図があった。例えば、君が凶悪なドラゴンを倒したとしよう。MMOにもよるが、ドラゴンは凄い戦利品をドロップするに違いない(我々もそうする)。WARにおいては、もしもドラゴンを倒したら、君には装備可能なトロフィーが与えられる。ドラゴンを倒したことが一目でわかるトロフィーだ!
トロフィーというコンセプトが最初に提案されたとき、我々全員がこのアイデアにとても興奮した。物をキャラクターに取り付けることで、成し遂げた偉業を示すことができるのだ。凄いと思わないか? だが、たちまち全員が理解した。それを実現するのは、とても、とても、とても難しいということを。
初期の段階に、我々がトロフィー・システムをうまくやり遂げるのに本当に重要なのは、ふたつのコンセプトだと判断した――多様性とヤバさだ。
我々はプレイヤーにビジュアル的"多様性"を何通りもの方法で与えてきた――異なる外見のアーマー、アーマーの色の変更、キャラクター自身のカスタマイズ等々。さて、僕が言う"多様性"というのは、特にトロフィーに関しては厳密にはどういうことなのか。プレイヤーがキャラクターにトロフィーを取り付けることができるようにしようと考えたとき、どのトロフィーを取り付けるかの選択だけではなく、どの場所に取り付けるかについてもプレイヤーに選ばせる必要があった。そうしなければ、全員のトロフィーがいつまでも同じ場所にくっ付いていて、多様性を何億倍にも広げるはずのものが、かえって狭めてしまうことになるからだ。
多様性についての決定
その1:トロフィーを取り付けることのできる場所の数は、取り付けることのできるトロフィーの数よりも多いこと。
こうすればトロフィーを並べるときに、とても多くの順序や組み合わせができる。この決定が成されるやいなや、プログラマーたちは不平を漏らしわがままになった。
その2:トロフィーに能力は持たせない。
そんなことをすればどんな結果になるかは1ナノ秒でわかる。もし能力を持たせれば、どのトロフィー5種類を組み合わせるのが"最強コンボ"なのかが自然に決まってしまい、その5種類のトロフィーはパワー・ゲーマーによって"狩り"の獲物になってしまうだろう。これが普通の戦利品なら問題ないが、プレイヤーの大部分が同じ5種類のトロフィーを誇示するようになってしまったら、多様性を劇的に増やすどころか減らしてしまう結果になる。この決定が成されると、ネット上では大きな騒ぎになった。あたかも、何百万ものパワー・ゲーマーが突然に恐怖の絶叫を上げ、それから不意に沈黙したかのようだった。
その3:トロフィーを取り付ける場所については、どのキャリアのアーマーにも個別に設定する。
キャリアごとの取り付け地点は、そのキャリアにとって意味のあるものにしなければならない。アート部門の連中はこの知らせを聞くと、僕の写真を火にくべた。例えば、ウィッチ・ハンターは弾帯にトロフィー・スロットが設定され、オークは肩パッドのスパイクにたくさんのスロットが設定されるといった具合だ。
それから我々は煩わしいデザインの質問について詰めていった。「実際のところトロフィーはどこに所属するんだ?(鎧に? 本人に?)」とか「アーマーを着替えた場合どうします? トロフィーを全部外しちゃう?」とかいったかんじで。こうした問題は、次の決定がされたことではっきりとした……。
その4:トロフィーは特定のアーマーに取り付けるのではなく、プレイヤー自身に付随する。
ユーザー・インターフェースのチームはこのことを知って、バッグに強烈な犬の糞を詰めて僕の玄関に置いていった。
このシステムを実装し、さまざまな禁則についての詳細を決定しはじめると、なにもかもがとてもうまくいくようになった。本当に、トロフィーは鳥肌の立つようなすごい出来栄えなんだ!
トロフィーをドラッグしてトロフィー・スロットに置き、キャラクター上の取り付け可能な場所すべてを順繰りに動かしていくことができる。この動作を、最大で5個のトロフィーで行える。アーマーを着替えた場合、トロフィーはそのまま残って、新しい外見になる。多様性を達成できた!
さて、いよいよヤバさについて話そう! ヤバさとは非常にテクニカルな開発用語で、キャラクターを見たときすぐにカッコいいかどうか判断できるかというコンセプトを指す語だ。これについてアーマーでは実践済みだ――いいアーマーほど、デカくてヤバイんだ。これと同じことをトロフィーでもやろうというわけだ。
トロフィーについて我々が最初に決めねばならなかったことのひとつは、"どこでプレイヤーはトロフィーを手に入れるのか?"ということだった。我々はできるだけトロフィーを"ヤバイ基準"に適合させたかったので、トロフィーは本当にカッコいい行為と関連付ける必要があった。
例えば、ほかのPCを100人倒したり、1000人倒したり、100万人倒したり(うん、今のはちょっと大げさだ)するとトロフィーが手に入るといった具合だ。100人斬りトロフィーよりも100万人斬りトロフィーのほうが格好よく見えるようにするのがアート・チームの仕事だ。この方法論をすべての種類のトロフィーに適用することで、カッコよさについても達成できるだろう。
トロフィーはたくさんのチームが作業に関わるシステムのひとつだ。トロフィーについて語るなら、アート部門とユーザー・インターフェース部門がやりとげた莫大な量の作業についても感謝しなければならない。彼らはほんとうによくやってくれた!
故人曰く、「百聞は一見に如かず」。これは本当だけど――読むのはたいへんだからね――You Tubeのプレゼンテーション・ビデオはさらにいい。僕は去年の11月に、プレゼンテーション・チャットでトロフィーについての主な特徴の大部分について語った。このプレゼンでのスターはMr. John Luuだ。とても熱心なQAテスターで、Dylanesque Ludditeもそうだが、僕はもう注目させられっぱなしだった。最初のほうはつまらないけど寝ないでくれ――最後のほうになると彼が服を脱ぎ始めるから。テスター君が着せ替え人形みたいにドレスアップするのもとても楽しいよ。機会があればぜひ見て欲しい。
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