パブリック・クエスト : ボス・プロフィール

滅びの島 : ロルコスとスコーンラッシュ

オーダー軍のプレイヤーは、滅びの島の岩がちな岸に停泊しているアルカネス家のブラック・アークに潜入することになるだろう。ここでプレイヤーたちは浮城の入り口から、城内に配置されたさまざまな連隊やその指揮官と戦うことになる。その奥で待ち構えるのは、熟練のビーストマスター、ロルコスと、そのとっておきの魔獣、ウォーヒドラのスコーンラッシュである。

ウシラは、カイン神の御意志により彼女とその姉妹たちが、蒼穹の森を意のままにできるのだと言い張った。マルシヴスは、リリス神の聖堂に収められた数々のアーティファクトを真っ先に選び取るのは自分の生得の権利だと強く主張した。するとケーロンは、自分が魔虐の王メルキスの宮廷において厚遇されていることを皆に思い出させようとし、それを遮るように小君主ケセクは、自分に忠誠を誓う戦士を数えたてた。その間ずっと、レイス・ブラックファイアは、彼女の修道院が説得の達人ぞろいであることを皆に思い出させようとしていた。

ロルコスだけは無言だった。座ったままじっと何かを見つめている。他の5人の司令官のうち、特に誰かを見るのではなく、彼らのあいだにある空気を観察しているのだ。計算ずくの反論、行き交う機転、鋭い舌鋒は数時間に及んでいるというのに、彼らを隔てる空間は、ここに呼び集められたときから一向に埋まる気配がない。征服したカルメルの戦利品を分配するなどどうしてできよう。

ロルコスは、カロンド・カーにおいて、五つの乱暴な頭たちがコントロールを賭けて何度も争うのを見てきた──ヒドラである。あの地でロルコスは焼けた烙印と残酷な魔法、それに洗練されたテクニックを用いて、ヒドラの一本一本の頭の意思をくじき、全体をひとつの意思の元にまとめ上げた。たったひとつの意思、ロルコスの意思だ。アルカネス家の豪華な会議室にある大きなテーブルにつきながら、ロルコスは喧嘩の絶えない仲間たちを飼いならすテクニックを頭の中でシミュレートしていた。

口論は年老いたビーストマスターの頭に響き続け、とうとうロルコスは計算ずくの行動にでることにした。ロルコスは立ち上がり、会釈をするとこう切り出した。「諸君、差し支えなければだが、私は動物どもの様子を見に行かねばならない。戦術的な案件については諸君らの優れた手に委ねたいと思う。我がけだものと私自身は、常のことだが、魔虐の王にお仕えするための準備があるゆえ、案件とする事柄については諸君に解決していただきたい」

ビーストマスターが論戦に参加する気がないことなど気にも留めず、残る五人はロルコスが去るのを喜んだ。ロルコスが退出するのを漫然と横目で眺め、それからすぐに活気を取り戻して口論を再開した。

ロルコスは螺旋階段を下りてブラック・アークの下層部に向かった。狭い通路を抜けると、洞窟のように広々とした船倉に出る。ここの空気は濃厚で息苦しい。コールドワンの檻、ハーピーの止まり木、マンティコアの巣を通り過ぎ、黄色の蔓草を追って進み、深く悪臭漂う穴ぐらへと進む。骨の折れる音、肉を引き裂く音、いくつもの歯が歯軋りする音、一歩進むごとに音は大きくなっていく。一番深くにいる怪物はけだものの唸り声を上げている。ここに投げ込まれた哀れな見習い兵をずたずたに引き裂き、身体の断片を一つ一つほうり捨てながら。

「長旅だったが、お前の気力は衰えていないようで何よりだ」ロルコスは穴ぐらに住む魔獣に向かい、満足げに言った。

ヒドラの五つの頭のすべてが、ロルコスの声に反応して振り向いた。五つの頭は空気の臭いを嗅ぎ、ロルコスの臭いを確かめると、すぐに服従の意を示して地に伏せた。ロルコスは魔獣に歩み寄る。

「忠実なるスコーンラッシュ、かつてお前を飼い慣らした私が、同じ生き方を続けるのができないのだとしたら、いったい私は何のマスターなのか」ロルコスは怪物に尋ねる。「自分自身を見るがいい。お前はバラバラな部分部分をまとめたよりも、ずっと立派だ。私がお前を完璧な破壊者に仕立て上げたのだ。わがけだものよ、我々のやり遂げたことを、やつらに理解させてやる時がきた」

スコーンラッシュは、主人の言葉の機微を理解したかのように注意深く首をもたげた。

それからすぐのこと、ウシラの杯が傾き、クリスタルの装飾品は砕け、地面が揺れて会議室の壁が崩れた。スコーンラッシュがいくつもの顎から野獣のうなりを響かせて、部屋へと押し入ったのだ。ロルコスが魔獣のあと後ろから姿を見せた。

「気高き同胞諸君」ロルコスは切り出した。「諸君の活気溢れる討論のどこを取っても、私は諸君らが本土で鳴り響く警告の音を聞き漏らしておるのではないかと心配でならない。シャイニング・ガードと言ったかな、我らはあの厄介な叛徒どもの相手をしなければならぬのだ。諸君が忠実な部下を動員するように、私も自分の部下を動員する。レディ・アルカネスが手に入れたカルメルを失ったとしたら、我ら一同の首が刈り取られるぞ」

とうとう協調して動くようになった評議会の五つの首を、ロルコスは満足げに眺めたのだった。




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