現在、ふたたびナーガロスのブラック・アーク艦隊が滅びの島(ブライテッド・アイル)に接舷し、ダークエルフの侵略軍が滅びの島の荒涼とした土地を越えて南進している。これまでのように、チャラスの山を越える峠がダークエルフの攻略目標のようだ。
チャラスの地勢は、ごつごつした緑の丘から、アニューリィ山脈の松の茂った斜面へと次第に高くなっていくもので、防御側にとっては守るうえでいろいろ有利な土地である。ダークエルフが山脈に近づくにつれて、この急勾配で岩がちの土地を通り抜けるのは難しくなっていくことに気付くだろう。この地方には要塞や隠し砦が点在しており、ハイエルフはここから擾乱攻撃を行ったり、奇襲を仕掛けたりできるのだ。
チャラスはまた、獰猛なクリーチャーが多数生息している土地でもあり、侵入者を発見するなり激しく襲い掛かってくる。こうした野獣たちの王が、力強いホワイトライオンである。ホワイトライオンは強く凶暴な捕食者であり、別離の時代以前からこの山脈の斜面を闊歩していたのだ。ホワイトライオンはチャラス地方にとっての誇らしい象徴であるばかりでなく、もっとも名高い連隊、ホワイトライオン・オブ・チャラスの象徴でもある。
長年にわたって、ホワイトライオン・オブ・チャラスはウルサーンと不死鳥の玉座を守護してきた。王国でも最高の力を技を持つ戦士と狩人だけが、ホワイトライオンの一員となることができるのだ。自分の腕前を示すために、ホワイトライオンを志すものは連隊の名の由来となった獰猛な獣と一対一で戦い、これを打ち負かさなければならない。時として、ライオンと主人のあいだに絆が結ばれ、互いを対等の存在として受け入れることがある。このようなチャラスの気高い戦士たちに立ち向かうものにとって、主人とライオンとの一致協力は恐ろしいものとなる。
ダークエルフが海岸から島へと侵攻する一方、ホワイトライオンはダークエルフに対するべく大急ぎで北へと騎行し、ティリオンの君率いるシャイニング・ガードと合流した。数で圧倒されていたシャイニング・ガードは少しずつ後退しながら、押し寄せる憎悪に満ちたかつての同胞と対峙していた。しかし、ダークエルフはあっという間にウルサーンの防衛隊を滅びの島から駆逐してしまい、国境を越えてチャラスへと侵入した。ハイエルフはチャラスの首都トルゥ・ アッカレと、ブラックウッド・ヒルの要塞を防衛拠点に定めた。ダークエルフは時間を無駄にせず、これら防衛拠点への包囲攻撃を始めたが、この攻撃は本当の目的を隠すための牽制攻撃あった。
軍団の大部分がチャラスでハイエルフ軍と交戦状態に入ると、メルキスは将軍たちに密命を下した。小規模なダークエルフの数個連隊がチャラスの2ヶ所のへき地へと派遣され、そこにある古代のメンヒル(巨石)を速やかに占領した。このふたつのメンヒルは、ボルテックス(大いなる渦)を支える古代のネットワークの一部だったのである。ボルテックスははるか大昔に造られた強力な魔法の産物で、荒れ狂うケイオスのエネルギーを吸い取り、ケイオスのエネルギーが世界を蹂躙するのを防ぐためのものであった。
メンヒルに危機が迫っているとの報告がティリオンの君の下に届き、彼は急いでメンヒル防衛のための行動に出た。ティリオン配下の戦士たちは、立石を取り囲んで秘術のまじないを唱えているソーサラーたちの一団を探し当てた。ハイエルフは攻撃を仕掛けたが、敵もそう易々とは退かない。現在、両陣営はメンヒルの支配権をかけて奮闘している。メルキスの奸計がいかなるものなのか、それはティリオンにはわからないが、計画の成功を許すつもりなどさらさらない。
チャラスの山地全域で、宿敵同士が激戦を繰り広げる。その攻撃の激しいこと、数千年に及びわだかまってきた憎しみで満ち満ちており、互いに一片の慈悲も示さない。一日過ぎるごとに、シャイニング・ガードとホワイトライオンの連合部隊では、侵略してきた魔虐の王の軍団を押し留めるには充分でないということがはっきりしていく。負け戦のたびに、ハイエルフの希望は少しづつ蝕まれていく。
状況は最悪だと思われ、悪逆無道のダークエルフが待望の山道にほとんど辿りついたその時、ローザンに知らせが届いた。不死鳥王が帰還し、オールド・ワールドから増援を連れ戻ったのだ。
しかしチャラスが攻め落とされる前に、増援はこの戦いに参戦できるのであろうか?
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